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日記(月見、レイとエミリー)

カテゴリー: エミリーの日記


「今夜は月が綺麗だね、エミリー」

パパは研究資料をめくる手をふと止めて、窓際にいる私の方を見た。


ーとっても綺麗ですぅ。まんまるですー。


「今日は、そう『ジュウゴヤ』という日らしいよ。一年で一番月が綺麗な日だ」


ージュウゴヤ?


「ああ、エマが言っていた。彼女の故郷ではそう言うらしい」


エマというのはたまにお家にやってくるお手伝いの綺麗な女の人だ。
お手伝いが本職というわけではなく、普段はパパの研究室で働いている。


「科学的な根拠があるわけではないんだが…いや、そんなことは意味がない。
昔の人間が月が綺麗だと思った。だからその日がジュウゴヤになった。それだけだろうな」


ー………。


なんだがよくわからなくて目をぱちくりさせる。
パパはそんな私の方を見て微笑むと、手元にあった資料を置いて窓際に来た。


「彼女の話には続きがあるんだ」


パパは窓際のソファ、私の隣に腰掛けた。


「月にはウサギが住んでいて、『オモチ』を作っているんだって。『オモチ』っていうのは東国ー彼女の故郷の食べ物だ」


ーウサギさんが!?すごいですぅ!


前に私は空の星や月もここからは小さく見えるけど、実は地球と同じくらい大きかったりすると聞いていた。
月には地球の人間みたいにうさぎさんがたくさん住んでいるのだろうか?
『オモチ』を作るくらいだからこちらのウサギと違って人間みたいに大きいのかもしれない。凄い。


「そういえば、かつて月に行った人間もいたな」


ーウサギさんに会ったんですか?


「いや、会えなかったらしい。月も広いからね。きっとウサギさんのいないところに降りちゃったんだろう」


それを聞いて少しがっかりした。
でもウサギさんはいきなり人間が来たらびっくりするだろうし、隠れちゃったのかもしれない。
ゆっくりゆっくり近づいて、「怖くないよ」って言ったらどうかな?ウサギさんと仲良くなれるかな?


「月から見ると、地球は青く光ってとても綺麗らしいよ。案外、ウサギさんも地球を眺めて人間がいるって考えているのかもしれないね」

「それとも、地球にはウサギがたくさんいるって思うのかな」


ー面白いですぅ。じゃあ私もパパもウサギさんですねー。


「はは。じゃあ『オモチ』を作らないとね。今年はもう終わりだけど来年……いつか作ってみようか」


ーはいぃ。楽しみですー。









それはいつかの年の夜のこと。

まだ私が死ぬ前のジュウゴヤ。

あれからしばらくたって、私は光より暗闇を好むようになったけれど。

月の光はあの日と同じようにとてもとても美しい。


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